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【家庭崩壊】相続で最も多いトラブルは?

2025.10.26
すぎむら先生「相続専門チャンネル」

■質問者
相続や遺産分割で家族が崩壊したというケースを聞きます。
どういうことで揉めやすいのですか?

■すぎむら先生
1番多いのは不動産の分け方で意見が食い違うことです。
大昔は家督相続といって長男が代々引き継いでいく時代もありました。
しかし、法律が変わり今は子供は平等です。

法定相続人である子供たちの権利はみんな平等だという前提があります。
子供が3人いれば1/3ずつです。

では1億円の土地の実家と現金が1000万円ある場合どう分けますか?
不動産のように分けにくい財産と現金のように1円単位で分けられるものの比率が偏り
不動産の価格が大きく分割しやすい財産が少ないとそもそも分けられないのでどうしようかという話になります。

不動産を売りたいという人もいれば
そこにずっと居住していた長男が住み続けたいと言うこともあります。

良い土地だから貸して収益を得たいという人も出てきます。
みんな考え方や価値観が違うので話し合っても折り合いがつかないケースが多いです。
それがよくあるトラブルです。

もう1つは評価の仕方で揉めることがあります。
不動産の分け方もそうですがその不動産がいくらの価値なのかという問題です。

例えば税理士が評価した税務上の申告で1億円の土地があったとします。
もう一方に1億円の現金があり相続人は子供2人です。

長男が1億円の土地を次男が現金1億円を相続すれば平等に思えます。
しかし、実は違います。

税務上の評価額1億円の土地は良い場所だと倍ぐらいで売れます。

そうなると平等だと思っていた数字が相場を見たら全然違うと
兄さんの受け取りすぎではないかという話になります。

実際にいくらになるかは売ってみないと分かりません。
買い手が最終的な時価を決めるので活用しようと思っていると売らないので価格が定まりません。

平等なのかという話し合いになり不動産屋に査定を取ったりします。
しかし、査定する人によって1億円や1億5000万円になったりと評価が変わってしまいます。

結局自分たちに都合のいい評価を取るので次男としては土地の価値が高い方が自分の取り分が増えます。
この土地は2億円だと言うでしょう。

一方で長男は土地の価値を抑えたい。
でないと次男に対して余分に払わないといけません。

なのでこの査定は1億8000万円が妥当だという話になります。
そこで折り合いがつかないことがよくある揉め事です。

■質問者
現金だと分かりやすいですが土地だと
1億円の価値と言われても実際は2億円で売れたということもありますね。
確かにそこは揉めやすいですね。

■すぎむら先生
他にも生前に母親の介護をしていた長男がいて次男は他県在住でした。
助けたくても現実的に助けられない家庭もあります。

そんな中長男が付きっきりで介護やお金の管理をしていました。
母親が亡くなった後に遺言書などが何もないと子供2人の権利は平等です。
だから1/2ずつになってしまいます。

それを長男から見たら何もしてこなかったじゃないかとなります。
次男は何も考えずに法定相続分は半分だから仲良く分けようと話してしまいます。

それは配慮が足りていません。
生前に何も手伝わなかった不満がずっと長男にはありました。
次男は他県だから仕方ないと感謝の気持ちだけはありました。

その状態で相続になり遺産分割で話し合いが必要になりました。
そこで次男は当たり前のように仲良く半分こしようと言ってしまいます。

その一言で過去の介護の苦労への配慮がないと長男は怒ってしまい
半分なわけがないだろうという話になってしまいます。

これは感情論の部分でよく言い合いになっているケースが多いです。

■質問者
私は親を介護してきたじゃないかという…

■すぎむら先生
そうです。
その思いと結果が合わないのです。

長男としてはこれだけ親のために頑張ってきた。
お願いしたことも次男はやってくれなかったとなると
平等に半分とはどの口が言うんだという話になって揉めてしまいます。

そこは法律論と感情論のバランスをちゃんと取らないと揉めてしまいます。

その流れで今度は介護の労力や時間による不満が
爆発したという話でしたがお金の部分もあります。

生前に介護のためにお世話をしつつ当然お金もかかります。
母親が認知症で意思能力がありませんでした。

しかし、キャッシュカードの暗証番号を知っていた長男は
良かれと思ってお金を引き出し使っていました。

親族間では母親のためだけにお金を使っていればいいのですが
意外となあなあになりやすい関係にあります。

例えば母親が行きたい場所に一緒に行ってあげようと
温泉旅行を企画して家族総出で行ったとします。

しかし、そこに次男は呼ばれても来ませんでした。
それは誰が払ったのか。

母親のためにやったことだから母親のお金でいいよねと
そんなゆるい感じになりかねません。

それが頻繁にあると自分の生活費もそこから出していたりします。

しかし、領収書もレシートも何も残っておらず
そもそもその時母親に意思能力はありませんでした。

こんな流れで母親が亡くなった時には財産がかなり消費されています。
最終的に相続の時に分割協議をします。

その時母親の預金がなぜかとても少ない相続人は過去10年間の取引明細を取れます。
銀行に開示請求すればいいのです。
そうするとその期間のお金の動きを追求されてしまいます。

結局意思能力がない母親のお金を長男は勝手に使っていた
という見方になってしまいます。

母親に意思能力がないので次男はあなたがお母さんからお金を借りていただけだと言います。
生前母親の意思があれば贈与もできますが意思はありません。

あなたが勝手にお金を使っていただけ。
つまり借りていたお金です。

不当に得たお金は返してねということで
最後に不当利得返還請求をされてしまいます。

不当利得返還請求権という権利があるので請求しますと
そのお金を返してというトラブルになっているケースがあります。

■質問者
それは大変ですね…

■すぎむら先生
大変です。
なるべく生前中であっても亡くなった後でも
ちゃんと話し合ってお互いのために準備をしておくべきです。

母親のお金は対策をしていないと
意思能力がなくなると勝手にお金は原則引き出せません。

それを動かすのであれば
キャッシュカードで引き出すのであれば勝手には絶対しません。

そもそも原則は使ってはいけませんが
事情によってはしょうがない部分もあるかもしれません。

それは利害関係者の合意を取って使うべきです。
これが介護とお金の使い込みのトラブルです。

生前贈与は今の流れで言うと長男だけに多額の贈与をしていたケースです。
家を建てる時などになぜか長男だけに贈与をたくさんしていました。

これも特別受益といって相続人は次男も長男もいるのに
特別に長男だけに偏った財産を渡していたということです。

それが亡くなった後に判明したりすると
財産相続を待たずに遺産を前渡ししていただけという話になります。

例えばそれが総額5000万円だったとします。
調査をすると亡くなった時に1億円の財産があって5000万円は遺産を前渡ししている。

それは足し算して1億5000万円の財産があったとして
法定相続分で話し合いをして分割することもあります。

これは遺産分割協議に限らず遺言書があるケースでも遺留分という請求権があります。

その遺留分を計算する上で基準となる相続財産にこうしたものも加算されてしまいます。
その時にはもうそのお金はないかもしれません。

多額の請求をされかねないので
そういったことも考えながらどうするか決めないといけません。

最後に今言ったようなことが結果なぜ揉めてしまうのかというと遺言書がないからです。
何をどれぐらい相続するかを話し合って決めないといけなくなります。
遺言書があれば誰に何をどれぐらい相続させるかこうしなさいとちゃんと残せます。

そうすると話し合わなくてもそうするのが原則になります。
それをしなさいと言われたら子供たちに不満はあってもしょうがないかと
母親はそういう意思で残したんだなとなります。

怒る人は出てくるかもしれませんが公平な分け方でなくても
不満があってもまずはそうなります。

それでも不満がある場合は遺留分という請求が認められていますがそれも上限があります。

なので遺言書がないから今言ったようなトラブルが起きているのです。
財産の多い少ないに関わらず遺言書があると今言ったような話し合いをしなくても
スムーズにちゃんと進んでいきます。

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「暮らしと相続」発行人 / 代表 相続コンサルタント

●プロフィール 岡山県出身。26歳で生損保の保険代理店「デザインライフ」を設立し、その後相続に関することで悩み苦しむ人を救うべく2015年から相続コンサルタント事業開始。 ●活動実績 年間約500件の相続相談に対応し、遺言・信託などの法律文書の組成、税申告・登記などの相続手続きをはじめ、保険・不動産・建築など、資産に関わる問題の解決、見直し、活用、運用など、幅広くアドバイスと対策支援を行い、部分的解決ではなく総合的解決へと導く、相続・事業承継に特化したコンサルタントとして活動。年間10億円以上の資産を動かす相続・事業承継対策に携わる。 ●セミナー・講演活動 年間100回を超えるセミナー講演等を行っており、一般向け相続セミナーのほか、相続コンサルタント養成講座を開講。全国の相続に関わる専門家の教育に携わっている。この他、日本赤十字社、大和リビング、メットライフ生命、オリックス生命、損保ジャパンひまわり生命等、講演実績多数。 ●事業展開・将来計画 2024年 実績が評価され2024年には新築戸建賃貸投資に関する全国フランチャイズの研修講師として事業参画。 2025年 自身が行う相続コンサル事業をフランチャイズ化。FC本部として自社だけでなく全国の加盟店に所属する相続コンサルタントを育成し、並走して実務支援することで全国の相続相談に対応している。 ●プライベート・その他の活動 趣味は、家族旅行とフットサル。2007年に自身が発足した岡山県リーグ所属フットサルチームのスポンサーとして支援している。(成績:県リーグ優勝数回、岡山県選手権予選優勝1回) ●所属 株式会社デザインライフ 代表取締役 株式会社C-NECT 代表取締役 FC本部運営 - 相続コンサルタントFC「DL-CONSULTANT」 - 不動産コンサルタントFC「資産運用ミライ相談所」

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