遺言・贈与・信託…何から始めればいいの?
「相続の準備をしたほうがいいのは分かっているけど、何から始めたらいいのか分からない」
そう感じている方は少なくありません。
実際、遺言書・贈与・信託など、いろいろな言葉を耳にしても、それぞれの違いがわかりにくく、「自分に合うのはどれ?」と迷う方が多いのです。
最も基本となる「遺言書」
まず、最も基本となるのが遺言書です。
遺言書は、自分が亡くなったあと、財産を「誰に」「どのように」渡すかを明確にしておくための”最後の意思表示”です。
遺言書があるかないかで、相続の進み方は大きく変わります。
たとえば、不動産を特定の子どもに相続させたい場合や、相続人以外の人(孫や介護してくれた人)に財産を渡したい場合、遺言書がなければ本人の希望は反映されません。
また、書き方に不備があると無効になることもあるため、最近では「公正証書遺言」を公証役場で作成する方が増えています。これは法的に最も確実で、紛失や改ざんの心配もありません。
生前から財産を分ける「贈与」
次に、生前から財産を分ける方法として知られるのが贈与です。
「生きているうちに少しずつ財産を渡しておきたい」と考える人に向いています。
贈与には、毎年110万円まで非課税で贈与できる「暦年贈与」や、相続開始前3年以内の贈与が相続財産に加算されるルールなど、税務上の注意点があります。
また、「相続時精算課税制度」を使えば、最大2,500万円まで非課税で贈与できる一方で、その後の贈与もすべて相続税の対象になるため、制度の特徴を理解して選ぶことが大切です。
注目の「民事信託(家族信託)」
そして、近年特に注目されているのが民事信託(家族信託)です。
これは、本人が元気なうちに、信頼できる家族などに財産の管理・処分を任せる仕組みです。
たとえば、父を「委託者」、子を「受託者」として契約を結び、父の不動産や預貯金を信託財産として託しておけば、認知症などで判断力が衰えても、子がスムーズに財産を管理・運用できます。
口座が凍結されたり、不動産の売却ができなくなるといったトラブルを防ぐために、今まさにニーズが高まっている方法です。
最初の一歩は「現状の整理」
では、実際に何から始めればいいのでしょうか。
最初の一歩は、「現状を整理すること」です。
自分がどんな財産を持っているのか、誰に引き継ぎたいのか、今の生活で何が心配なのか――これらを”見える化”することが出発点です。
そこから、目的に合わせて手段を選んでいけばよいのです。
目的別の選び方
大切なのは、「専門的な手段を使うこと」よりも、「家族と話し合いながら早めに動くこと」です。
どの方法も、元気なうちに準備してこそ意味があります。
“自分がどう生き、どう託すか”を考えるきっかけとして、今こそ相続の第一歩を踏み出してみてください。
相続の準備をお考えの方へ
遺言・贈与・信託、どの方法が適しているかはご家庭の状況によって異なります。当事務所では、お客様の状況に合わせた最適な方法をご提案いたします。お気軽にご相談ください。


