「うちは財産ないから関係ない」は本当か?
「うちは財産なんてないから、相続なんて無縁ですよ」
そうおっしゃる方はとても多いのですが、実際に相続の現場に立っていると、その“思い込み”こそが大きなトラブルの原因になっているケースをよく見かけます。
相続問題は「お金持ちだけ」の話ではない
相続=お金持ちの家の話、というイメージがあるかもしれません。
たしかに、相続税が発生するのは全体の1割程度で、多くのご家庭には税金の支払いは生じません。
しかし、相続で問題になるのは「税金」だけではありません。
実際に現場で多いのは、次のような問題です。
現場でよく見る3つの問題
- 「遺産分割」の問題
「誰が、何を、どのように受け継ぐか」という承継の話です。法定相続分や遺留分といった民法上のルールを無視して遺言が書かれていた場合や、そもそも遺言書が存在しないケースでは、遺産分割協議が難航しやすくなります。
特に、不動産など”分けづらい財産”があると、対立が深まる原因になります。 - 生前の財産管理に関する問題
高齢の親が認知症や脳血管疾患などで意思能力を失ってしまった後に、口座凍結や不動産売却の制限に直面し、「生活費が下ろせない」「施設に入れられない」と困るご家族は少なくありません。
こうした財産凍結のリスクは、事前に対策をしていなければ誰にでも起こりうるのです。 - 税金の問題
もちろん、税金も大きな問題です。
相続が発生してから初めて「相続税がどれくらいかかるのか?」を把握し、慌てて納税資金を用意するご家庭も少なくありません。
特に不動産が多く、現金が少ないようなケースでは、納税のために急いで売却せざるを得なくなることもあります。
重要なのは「準備ができているかどうか」
このように、相続というのは「財産が多いか少ないか」ではなく、「準備ができているかどうか」が分かれ道になります。
たとえ財産が少なくても、不動産の名義変更や預金の解約には相続人全員の同意が必要ですし、誰かが生前に口座から引き出していた場合、それが”使い込み”として問題視されることもあります。
「うちは関係ない」と思う方にこそ必要な準備
だからこそ、「うちは関係ない」と思っている方にこそ、早めに財産の棚卸しと、話し合いの機会を持っていただきたいのです。
今できる準備を始めましょう
家族が安心して暮らせるように、今できる準備を少しずつ始めておきましょう。


