「借金の相続」って放棄できるって知ってた?
相続というと「財産を受け継ぐこと」と思われがちですが、”プラスの財産”だけではないこともありますよね。
現金や不動産といった資産のほかに、借金やローン、未払いの税金など”マイナスの財産”が存在していれば、当然これも一緒に引き継ぐことになります。
しかし、相続人等は、亡くなった被相続人に”マイナスの財産”が存在することを知らないケースも多いのではないでしょうか?この事実を知らずに手続きを進めてしまうと、思いがけず借金まで背負ってしまうこともあるので注意が必要です。
相続放棄の実態
日本では年間に約140万人が亡くなっていますが、そのうち約5万人前後が「相続放棄」を行っているとされています(司法統計年報・法務省より)。
つまり、相続人の約3~4%は、財産よりも借金が多いなどの理由で相続を放棄しているということです。
借金のある家庭だけでなく、連帯保証や未払い税などが原因で、思いがけず負債を引き継ぐケースも少なくありません。
相続放棄とは
では、「相続放棄」とはどういう制度なのでしょうか。
相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の財産を一切引き継がないことを裁判所に申立てる手続きです。
一度放棄すると、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないことになります。
放棄の申述は、原則として「相続開始を知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
この期間を過ぎると、相続を承認したとみなされてしまうため注意が必要です。
熟慮期間の延長
ただし、すべての借金が明らかになるのは時間がかかることもあります。
たとえば、亡くなった親の名義でクレジットカードやローン契約が残っていた、保証人になっていたことが後から判明した、などというケースも珍しくありません。
こうした場合には、3か月の熟慮期間の延長を家庭裁判所に申し立てることも可能です。
あわてて判断せず、内容を把握してから手続きを行うことが大切です。
限定承認という選択肢
また、「相続放棄」以外の方法もあります。
代表的なのが「限定承認」という制度です。
これは、相続によって受け取る財産の範囲内でのみ、借金を支払うという仕組みです。
たとえば、遺産が800万円、借金が1000万円あった場合、差額の200万円については、返済義務を免除できるというものです。
借金が多いか少ないか分からないときや、事業を引き継ぎたい場合などに有効な方法です。
ただし、限定承認は相続人全員で行う必要があり、手続きも複雑なため、慎重な準備が求められます。
注意すべき行為
なお、相続放棄をしても、放棄前に遺産を処分したり、借金の一部を返済してしまうと「相続を承認した」とみなされる場合があります。
通帳からお金を引き出したり、車を売却したりといった行為は控えるべきです。
判断に迷う場合は、すぐに相続コンサルタントなどの専門家に相談しながら進めましょう。
相続は、財産を受け取る権利と同時に、責任も伴うものです。
「借金があるから相続は怖い」と不安になる必要はありません。
制度を正しく理解し、期限内に適切な手続きを行えば、不要な負債を背負うことなく家族を守ることができます。
相続は、”強制”ではなく、”相続するかどうか、相続人が選択できる”ということをぜひ知っておいてください。
出典:
裁判所「令和5年司法統計年報 家事事件編」
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/Houki/statistics_2023/index.html
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