■質問者
すぎむら先生!
一番みんなが抱えている悩みとして「親の介護をどうしたらいいのか」という問題があると思います。
すぎむら先生はこれまで多くの相続の現場を見てこられたと思いますが、介護問題にはどのように向き合うのが一番良いのでしょうか。
時間もお金もかかりますし、どうすればいいのか悩んでいる方は多いです。
■質問者
本当に色々なケースがありますよね。
まず大きな問題になるのが、「遠方に住んでいる子どもが、どうやって親の介護をするか」という点です。
例えば、親御さんが要介護状態になった場合、公的な介護保険制度を使えるようになれば「ケアマネジャー」という担当者がつきます。
その方と相談しながら、施設に入るか、デイサービスやヘルパーさんを利用するかといった介護計画を立てていくことになります。
■質問者
プロであるケアマネジャーさんと連携して進めていくわけですね。
■すぎむら先生
そうです。
ただ、その計画を進めるための相談や連絡のやり取りが、実は家族にとって結構なストレスになるんです。
ケアマネジャーさんも家族の決定(同意)がないと勝手に動けませんからね。
親と同居していたり、地元の近くに住んでいればその都度会って話ができますが、遠方に住んでいるとコミュニケーションが取りづらい。
あまりよく知らないケアマネジャーさんから、電話などで「やるか・やらないか」の決断だけを迫られる形になりがちで、
これが大きな不満や不安、時間のロスに繋がっているのをよく見かけます。
■質問者
遠距離介護ならではのコミュニケーションの難しさやストレスがあるのですね。
■すぎむら先生
また、まだ「要介護」の手前の段階、つまり介護保険が適用されない時期の生活サポートも盲点です。
この段階ではケアマネジャーさんもいませんし、公的なヘルパーさんも基本的には呼べません。
しかし、お父さんお母さんは徐々に家での生活(家事、炊事、洗濯など)に不自由を感じ始めます。
外出が減ってコミュニティに属さなくなり、誰とも喋らない高齢者の方が増えてしまうんです。
その結果、いざ本当に施設に入らなければならないタイミングになった時に、本人が強く嫌がるといった悪循環も生まれます。
■質問者
介護保険が使えない段階で、身近に頼れる人がいない場合はどうすればいいのでしょうか。
■すぎむら先生
実は、公的な介護保険制度を使わない、民間の「生活支援事業」というものがあります。
私たちのところで言うと「まごころさぽーと」という有償ボランティアのサービスなのですが、そういったスタッフを現地に派遣して、
生活の支援(家事、炊事、洗濯、草むしり、電球交換、ちょっとしたお話し相手など)をしてもらう方法があるんです。
遠方に住む子どもたちが直接現地に行けなくても、こうした「現地サービス」を上手く活用して最初は連携を取り、
その後、実際に要介護状態になったらケアマネジャーさんとの連携に切り替えていく、という流れが今は多いですね。
■質問者
そういったサービスの費用感や、お金の負担はどのようにされているケースが多いですか。
■すぎむら先生
基本的には、やはり親御さんご自身の財産があれば、そこから支払うのが一般的ですね。
私たちが運営している民間の生活支援サービスであれば、だいたい1時間あたり3,000円前後の価格帯です。
また、介護保険制度を利用するサービスに関しては、ご本人の所得に応じて自己負担額(1割〜3割など)が変わってきます。
公的な制度を利用すれば費用はかなり抑えられますので、要介護申請などの手続きはしっかりと行うべきです。
■すぎむら先生
ただし、ここで「親の財産が使えなくなる」という別の方策の問題が出てくることがあります。
例えば、親御さんが介護状態になった原因が「認知症」などで、意思能力がなくなってしまったり、意思表示ができなくなったりした場合です。
あるいは、施設に入いて自分で銀行にお金を下ろしに行けないというケースもそうですね。
今の金融機関は非常に厳しいですから、口座名義人である親御さん本人の意思確認が取れないと、
子どもであってもお金を下ろしたり振り込んだりすることはできません。
■質問者
本人の意思確認ができないと、親の介護費用なのに親の口座からお金が出せなくなってしまうのですね。
■すぎむら先生
そうなんです。
もし施設に入所している親御さんの口座からお金を下ろそうとすると、
施設の面会予約を取り、個室の場所を確保し、銀行員の方の都合を合わせて直接面会してもらう、といった大掛かりな手続きが必要になります。
当然、家族の立ち会いも求められますから、子ども側も有休を取って現地へ向かわなければならなくなります。
資産が凍結されてからでは本当に大変ですので、
そうなる前に、事前の段階からしっかりとお金や相続の「対策・検討」をしておくことが極めて重要です。
