■質問者
すぎむら先生!質問が来てたんですけど
親が認知症だったりボケちゃったりしたら、
これから相続とかいろいろ心配なんですけど、そういう時ってどうしたらいいんですか?
■すぎむら先生
すでに意思能力がなくなっているという診断を受けた場合は、契約や解約といった法律行為が本人の意思表示では一切できなくなります。
つまり、本人の名義の財産はもう動かせない状態、凍結状態になってしまうんです。
これをどうにかして管理したい、動かしたいとなったら、法律上の代理人を立てるしかありません。
■質問者
本人が「この人を代理人にします」と言えない状態なら、どうやって立てるんですか?
■すぎむら先生
子どもや配偶者などの親族が、家庭裁判所に「後見人(こうけんにん)を選任してください」と申し立てをします。
お医者さんの鑑定書などを出して、裁判所が認めれば後見人が選任されます。
申し立ての時に「自分がなりたい」と候補者を挙げることはできますが、それが通るかどうかは分かりません。
裁判所が全く知らない専門家などを選ぶこともあります。
■質問者
誰がなるか分からない、どこの誰だか分からない人が、
自分の親の分身として動くことになるかもしれないんですね。
■すぎむら先生
そうなんです。自分の親の生活の好みやこだわりを全く知らない人が代理人になるって、よく考えたら気持ち悪いことですよね。
これが嫌なのであれば、親が元気なうちに「任意後見(にんいこうけんにん)」の契約をしておくことです。
公正証書で「もし自分がボケたら、この人に後見人になってもらう」と
事前に子どもや信頼できる専門家を指名しておく対策ができます。
事後的に裁判所が選ぶ「法定後見」と、事前に契約しておく「任意後見」の2パターンがあるということですね。
ここで一番知ってもらいたいのが、
「そもそも後見制度はどういう人のためのものか」ということです。
この制度の趣旨は、意思能力がなくなった本人を「守るため」のものです。
だから、後見人がつくと、お母さんの財産を柔軟に動かしたり、積極的な節税対策に使ったりすることは絶対にできなくなります。
財産がたくさんあったとしても、本人のために必要最低限の生活費や施設費しか支給できなくなります。
ですから私は、近くに仲の良い子どもが住んでいるとか、
頼れる親族がいるのであれば、そもそも後見制度は必要ないと思っています。
■質問者
頼れる家族がいるなら、無理につけなくてもいいんですか?
■すぎむら先生
そうです。
頼れる先があるなら、元気なうちに「民事信託(家族信託)」で財産管理を任せるか、
資産家なら法人を作って管理するとか、事前に贈与をするとか、管理の方法はいくらでもあります。
あえて知らない後見人に来てもらって、わざわざ裁判所に監視されながら管理してほしい人なんていませんよね。
この制度が本当に必要なのは、
例えば「子どもが障害を持っていて、自分が死んだら他に頼れる身寄りが誰もいない」というような、
後見人がいないと生きていけないケースです。
■質問者
でも先生、後見人をつけないと、病院の入院手続きや施設の手続きで困りませんか?
■すぎむら先生
私がコンサルタントとして11年やってきた経験上、病院や施設の手続きで後見人がいなくて困ったケースはほとんど見たことがありません。
みんなが困って後見人をつけているのは、結局「お金の管理」なんです。
そして、つけてから後悔しているケースが本当に多い。
身近な子どもが、お父さんのお金をお父さんのために使うだけなのに、
いちいち裁判所や後見監督人にお伺いを立てて、報告書を出さなきゃいけない。
そんなことをしたい人は一人もいませんよね。
あえて言い切りますが、頼れる家族がいるのであれば、後見制度ではなく、元気なうちに信託などの事前対策をしてください。
そうすれば後見制度に頼る必要はなくなります。
