すぎむら先生、親がそろそろ高齢になってきて、介護が必要だったり、もしもの時の相続のことも考えなきゃいけない状況なんです。
そういう時に「ちょっとこれだけはやってはいけない」というNG行動ってあったりしますか?
ありますね。
一番やっちゃいけないのは、親のお金を「勝手に下ろしたり振り込んだりすること」です。
当たり前ですけど、これは絶対にダメですね。
まあまあいたりするんですよ。
「お母さんのためだ、お父さんのためだ」と思い込んで、これが必要、あれが必要と、歯止めが効かなくなって使ってしまう。
暗証番号を知っていればキャッシュカードで下ろせちゃいますからね。
でも、それをやっていいとは法律上も判例的にもなりませんし、後から周りの親族に追求されて大問題になることが結構あるんです。
よく「お父さんに頼まれたから下ろしたんだ」という言い訳も聞きそうですが、それは通用しないんですか?
■すぎむら先生「やれと言われたからやった」と言っても、例えばそのお金が自分の口座に移動していたりしたら、証拠がないとただの「言った・言わない」の話になっちゃいますよね。
それでは通用しません。もし誰か他のきょうだいが同じことをやっていたら、あなただって絶対に追求するはずです。
もし本当にお父さんから「お前の口座に振り込め」と頼まれたのであれば、後から何も言われないように、ちゃんと「贈与契約書」などを交わして証拠を残しておくべきです。
■質問者なるほど。
でも、親が認知症になったり脳血管疾患で倒れたりして、本当に代わりに管理してあげなきゃいけない状況もありますよね。
■すぎむら先生もちろん、足が悪くて自分で行けないとか、判断能力が落ちてきて誰かを頼らざるを得ない事情は出てきます。
本人が元気なうちならまだ証明できますが、大体揉めるのって、本人が完全に意思能力を失った後や、亡くなった後なんです。
過去に遡って「あの時のお金はどうしたんだ」と言われるのがほとんどですから、口約束は絶対にやめましょう。
管理する側の子どもとしては、どうやって身を守ればいいんでしょうか。
■すぎむら先生親の立場からすれば、子どもを信頼して託すわけですから、「後からこの子が責められたら困るだろうな」と考えて、ちゃんと書面に残してあげる。
逆に管理する子ども側の立場なら、いくら善意であっても周りのきょうだいの目を気にしなければいけません。
「ちゃんとお父さんから依頼されて管理しているんだ」と胸を張って言えるような管理体制を取らないと、自分を守れないわけです。
■質問者具体的には、どんな書面を用意すればいいんですか?
■すぎむら先生お互いに「依頼した」「引き受けた」という合意を残す契約書が必要です。
財産をあげるなら「贈与契約書」、管理を任されるなら「財産管理委任契約書」、あるいは、信じて財産を丸ごと一任して託すのであれば「民事信託(家族信託)契約書」ですね。
こういった正式な文書を交わしておくことです。
もっと言えば、それを公証役場で「公正証書」にしておけば、周りからの信用度が格段に高くなります。
お互いに書類を作成してしっかり残しておく、これに尽きるかなと思いますね。
