■質問者
すぎむら先生、相続税って最高税率が55%と、めちゃくちゃ高いじゃないですか。
ただ、政治家は相続税がかからないって聞いたんですけど、これって本当なんですか?
■すぎむら先生
本当ですね。
ズルいなと思うかもしれませんが、仕組み上そうなっている場所があるんです。
そもそも相続税が何にかかるかというと、「個人の資産」に対してです。
自分の名義の預金や不動産、あるいは自分が持っている会社の株式などですね。
ですから、政治家の人であっても、自分個人の名義の財産には当然相続税がかかります。
■質問者
では、なぜ政治家はかからないと言われているんですか?
どんな手法なんですか?
■すぎむら先生
「政治団体」という、個人の財産ではない場所を作ることができるからです。
その団体にあるお金は、個人のものではないから「相続財産じゃないよね」という位置づけになります。
政治団体には後援会や資金管理団体など色々ありますが、
そこにある財産に関しては個人の資産ではないため、相続税の課税対象から除外されるんです。
■質問者
安倍元首相の時にも、そういったお金の動きが話題になりましたよね?
■すぎむら先生
そうですね。
安倍さんが亡くなられた後、妻の昭恵さんが代表に就任した政治団体「晋和会」に対して、
関係する複数の団体から計2億円以上の政治資金が寄付という形で移動していたことが、
政治資金収支報告書などで明らかになって話題になりました。
■質問者
2億円を超えるとなると、通常ならどれくらいの相続税が引かれるんですか?
■すぎむら先生
2億円を超える場合、相続税の税率は40%〜50%ラインになってきますから、
普通なら1億円前後の相続税がかかる計算になります。
■質問者
じゃあ、1億弱の税金を合法的に回避しているのが政治家だと。
■すぎむら先生
まあ、それが脱税かどうかは別として、法律上は「個人の財産ではなく団体のもの」という扱いになります。
しかも複数の政治団体の間では、資金の移動が自由にできちゃうような仕組みもあるみたいですね。
そもそもそんなにたくさんの団体が必要なのかという不思議さはありますが、
団体のお金だから安倍さん個人の相続税とは関係ない、ということになっています。
■質問者
これは政治家に限らず、一般の人が真似することはできないんですか?
■すぎむら先生
政治家に限らず、誰のものとも言えない団体、例えばボランティア団体や任意団体などは色々とあります。
一時期、一般の会社や資産家が「一般社団法人」を作って、そこに自分の財産を移すことで相続税を逃れようとする動きが結構ありました。
「私とは関係ない法人だから相続税はかからない」という主張ですね。
■質問者
それは今でも通用するんですか?
■すぎむら先生
税務署も黙っていませんから、いたちごっこが続いています。
「関係ない団体だ」と言いながら、実際の決定権を握っているのが自分の子どもや配偶者ばかりだったら、
実態として「自分たちの財産と同じで自由に使えるでしょ」とみなされ、課税対象になってしまうんです。
そのため税制改正が行われ、今では親族などの関係者が役員の一定割合以上を占めて支配している場合は課税される、といったルールが作られました。
定款を工夫してなんとかしようとする動きもありますが、実態が伴っていないと怪しいものとみなされます。
■質問者
結局、都合の良い抜け道を作ろうとしても、
一般企業だと税務署に細かくチェックされるわけですね。
■すぎむら先生
その通りです。
政治団体は昔から認められている特殊なものですが、一般の企業や個人はあまりそういう極端なことはしない方がいいです。
後から「重加算税」や「追徴課税」を課された時のリスクが大きすぎますからね。
変に怪しい対策に手を出すのではなく、王道の方法でしっかりと計画的に節税対策をしてもらうのが一番安全で確実だと思いますよ。
