相続対策っていつから始めるべき?
「相続対策はまだ早いですよね?」
この質問は非常によくいただきます。
しかし結論から言うと、相続対策は“早すぎることはあっても、遅すぎることのほうが圧倒的に多い”のが現実です。
内閣府の調査によると、認知症の高齢者数は今後も増加し、2025年には約700万人に達すると推計されています。
これは高齢者の約5人に1人にあたる水準です。
つまり、誰にとっても「判断能力が低下するリスク」は決して他人事ではありません。
相続対策は「元気なうち」しかできない
相続対策の多くは、本人の意思能力があることが前提です。
たとえば、
・遺言書の作成
・生前贈与
・民事信託(家族信託)の契約
これらはすべて、本人が判断できる状態でなければ成立しません。
一度、認知症などで判断能力が低下してしまうと、これらの対策はほぼ不可能になります。
その結果、「何も対策できないまま相続を迎える」ことになり、家族の負担が大きくなるケースが多いのです。
よくある「遅すぎたケース」
実務の現場では、次のようなケースが非常に多く見られます。
・認知症になってから相談に来たが、何も手続きができない
・不動産を売りたいが、本人の意思確認ができず動かせない
・口座が凍結され、介護費用の支払いに困る
こうした状況になると、成年後見制度を使うしかありませんが、自由な財産活用が難しくなります。
つまり、「もっと早く準備していれば防げた問題」が後から一気に表面化するのです。
では、いつ始めるべきか?
目安としては、「60代に入ったら検討開始」が一つの基準です。
ただし、実際にはそれより早くても問題ありません。
重要なのは年齢ではなく、
・判断能力がしっかりしていること
・家族と話し合える状態であること
この2つが揃っているタイミングです。
早く始めるほど選択肢が広がる
相続対策は、早く始めるほど選択肢が増えます。
たとえば、
・長期間の生前贈与による節税
・民事信託(家族信託)による柔軟な財産管理
・家族間での十分な話し合い
時間をかけて準備できることで、無理のない形で対策を進めることができます。
逆に、直前になってからでは「できることが限られる」ため、最適な対策が取れないケースも多くなります。
相続対策は「家族のための準備」
相続対策は、自分のためというより「家族のための準備」です。
残された家族が困らないようにするための思いやりとも言えます。
「まだ早い」と思っている今が、実は一番良いタイミングかもしれません。
まずは財産の整理や家族との会話から始めてみてください。
そして、具体的な対策を進める際には、相続コンサルタントなどの専門家に相談し、自分に合った進め方を確認することが大切です。
相続対策は、“思い立ったときが始めどき”です。
出典
内閣府「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」
https://www8.cao.go.jp/kourei/measure/plan/index.html