実家の扱いで起こる相続トラブル
最もトラブルになりやすい「実家の扱い」
相続の相談で、最も深刻なトラブルになりやすいのが「実家の扱い」です。
預金や保険なら数字で分けられますが、家や土地はそうはいきません。しかも“思い出が詰まっている”となると、感情のもつれは一層複雑になります。
典型的な問題パターン
典型的なパターンは、「誰も住む予定はないけれど、売るのもなんとなく抵抗がある」というケース。
親が亡くなった後、とりあえず実家は空き家のままにして、相続人同士で「そのうち話し合おう」と先送りにする。ですが、こうした“なんとなくの放置”が、のちに大きな火種となってしまうのです。
実際に起きる感情的な対立
実際には、こんなやり取りが起きます。
「兄が相続すると思ってたのに、私にも分けろというの?」
「自分は介護も何もしなかったくせに、家を売って現金で分けようなんて…」
こうして感情とお金が絡み合い、兄弟の関係がこじれていきます。
不動産相続の複雑さ
さらに厄介なのが、不動産には相続税評価額だけでなく“実勢価格”や”利用予定”など、判断要素が多く含まれていることです。売却するのか、誰かが住むのか、空き家のままにするのか。選択によって他の相続人に与える影響も大きく、解決には相当な時間と労力がかかります。
解決策:親が元気なうちの話し合い
だからこそ、本当に大切なのは「親が元気なうちに、本人の意思を確認しておくこと」です。
「この家を誰に継いでほしいか」「将来的に売却していいと思っているか」
こうした思いを、できれば家族みんなの前で話しておくこと。それだけで、のちの相続協議は驚くほどスムーズになります。
専門家の活用も有効
また、どうしても家族だけでは話しづらい場合は、相続コンサルタントや専門家を交えて話すことで、感情を整理しながら方向性を決めることもできます。
実家は、家族の記憶が詰まった特別な場所。
だからこそ、その扱いをあいまいにせず、きちんと考えておくことが、家族の関係を守る最善策になります。