
社会の変化と相続の課題
2026年を迎え、相続を取り巻く環境は大きく変わってきています。税制改正は毎年のように行われていますが、実際の相談現場でそれ以上に大きな問題になっているのは、社会の変化と家族のあり方の変化です。後期高齢者が増え、少子高齢化がさらに進む中で、認知症や要介護状態による「生前の財産凍結」は、今や特別な家庭だけの問題ではありません。
しかも今は物価高の影響もあり、子ども世代も共働きで日々の生活に追われています。親の介護や療養の世話を十分に担うことが難しく、結果として老老介護になってしまうご家庭も少なくありません。 そうした余裕のなさの中で、親の財産や今後の生活費、相続での分け方をめぐって、親族間の話し合いがこじれてしまうケースも増えています。さらに、税制改正によって、「とりあえず不動産を買えば節税になる」「小口化商品を使えばすぐに相続税が下がる」といった、分かりやすい対策も通用しにくくなってきました。
これからの相続対策に必要なのは、目先の節税効果だけではありません。事業として成り立つかどうかという収益性、長く持ち続けられる安全性、そして認知症などで意思能力を失った後でも、管理や処分が止まらない柔軟性まで考えていく必要があります。
相続のご相談では、「家族仲がいいから大丈夫」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。もちろん大切なことですが、実際には仲の良し悪しよりも、準備不足によってトラブルになるケースが少なくありません。分けにくい不動産や不十分な遺言書、財産情報の未共有などが原因で手続きが滞り、親族間の不信感につながることもあります。
これからの相続対策の考え方
相続対策の本来の目的は、税金を減らすことだけではありません。ご自身が築いてきた大切な財産を、トラブルなく、できるだけスムーズにご家族へ引き継ぐための道筋を作ることです。そのために大切なのは、いきなり節税や制度の話から入ることではありません。まずは、自分達の現状を正確に把握することです。
親族関係や財産内容、相続税の有無、納税資金、認知症リスクなどを整理することで、整理してはじめて、今の自分たちに何が問題で、何を優先して備えるべきかが見えてきます。税金や法律の制度は、そのあとに使う道具です。先に現状を整理し、問題をはっきりさせ、そのうえで必要な対策を選ぶ。この順番を間違えないことがとても大切です。
いきなり手続きや商品から入るのではなく、まず現状を把握し、何が問題になりそうなのかを見える形にしていく。
今号では、税制改正の影響、遺言書の注意点、生命保険の活用、認知症による財産凍結への備えなど、実務の話をまとめました。本紙が、ご自身の現状を見つめ直し、これからの備えを考えるきっかけになれば幸いです。
目次
- ■ 2026年度 税制改正の罠!
- ■ 残された家族を襲う「検認」の重い負担
- ■ 相続登記及び住所変更登記の義務化について
- ■ まずは相続全体の状況を整理することが大切です
- ■ 全国どこからでも無料で相談いただけます
- ■ 相続のプロが相続セミナーのご案内
