「うちの子どもたちは仲がいいから大丈夫」の落とし穴
仲の良い家族ほど危険
「うちの子どもたちは仲がいいから大丈夫」
そう思って何の準備もせずに亡くなった方の相続が、数年単位の泥沼になる。相続の現場では、決して珍しくない話です。
実際、「相続トラブルの7割以上は”仲の良かったはずの家族”の間で起きている」というデータもあるほどです。
では、なぜ相続で”もめる家”と”もめない家”があるのでしょうか?
トラブルの根本原因
答えはとてもシンプルです。
“事前に話し合いがされていたかどうか”
そして、“財産の全体像が共有されていたかどうか”。この2点に尽きます。
もめる家の典型例
もめる家の典型例は、「何をどのくらい持っているかを誰も知らない」「誰に何を残すかが不明確」「親が何も言わずに亡くなった」
つまり、“知らないことだらけ”のまま、いきなり分けなければいけなくなるパターンです。
特に問題になりやすいのが、実家や土地といった「分けにくい資産」。誰が住むのか、売るのか、貸すのか。代償分割をどうするか。感情が絡むため、話がまとまりにくく、兄弟間の関係性にまでひびが入るケースも少なくありません。
もめない家の共通点
一方、もめない家は、「生前に家族で話していた」「親の希望・意向・分割方法などが遺言書で残されていた」「相続財産の内容が明確だった」など、事前に情報が整理されているのが共通点です。
こうした家族では、たとえ多少の不満があっても、「本人の意志だから」「あらかじめ聞いていたから」と、感情的な対立に発展しにくくなります。
相続は「想いの引き継ぎ」
相続は、お金の問題であると同時に、「想いの引き継ぎ」でもあります。
だからこそ、ただ分けるのではなく、“どう引き継ぎたいのか”を本人の口から伝えておくことが、何よりのトラブル予防になります。
「うちは仲がいいからこそ、今のうちに話しておこう」
そう思えたときが、相続対策のベストタイミングです。