■質問者
すぎむら先生、親に遺言書を書いてもらった時に、
せっかく書いてもらったのに無効になっちゃうパターンってあったりするんですか?
■すぎむら先生
はい、一応ありますね。
■質問者
どういう時に無効になっちゃうんですか?
■すぎむら先生
やっぱり無効になりやすいのは、手書きの「自筆証書遺言」を自分で書いて家に置いておいたパターンですね。
形式的な不備が起こりやすいんです。
例えば日付ですね。
日付を特定しないといけないのに「〇年〇月吉日」と書いちゃっているパターン。
これだと日付が特定できないのでアウトです。
あとは、実印じゃない印鑑を捺していたり、印鑑自体を捺し忘れちゃっていたり、パソコンで本文を作っちゃっていたり。
自筆証書遺言は、財産目録などの例外を除いて基本はすべて手書きで書かないといけません。
■質問者
書き方のルールを知らないと、うっかり間違えちゃいそうですね。
■すぎむら先生
そうなんです。
特に不動産や銀行口座などの「財産の特定の仕方」が難しくて、番号や記載を間違えていると、
法律上は遺言書として成り立っていても、実際の法務局や銀行の手続きで
「対象の財産がどれか特定できないから受け付けられません」となってしまうケースもあります。
■質問者
形式的なミスのほかに、どんな理由で無効になることがありますか?
■すぎむら先生
最近多くなっているのが「遺言能力(意思能力)」の問題ですね。
遺言書を書いた前後の時期に、重度の認知症などで自立した生活ができていなかったり、会話や契約ができる状態じゃなかったりした場合です。
後から「この時期に遺言が書けるわけないでしょ」と揉めて無効になるケースがあります。
ただ、意思能力があったかどうかを後から証明して裁判所で判断してもらうのは、かなり大変な作業になりますけどね。
公証人が入る「公正証書遺言」であっても、医師の診断書が必須なわけではないので、ここは少し曖昧な部分でもあります。
■質問者
ほかには何かありますか?
■すぎむら先生
あとは偽造とか、脅迫・詐欺で強制的につくらせた場合ですね。
うちの顧問弁護士から聞いた話ですが、半年間のうちに遺言書が6回も書き換えられていた事件があったそうです。
きょうだいが入れ代わり立ち代わり実家に行っては、
自分たちの都合の良いように手書きで母親に遺言書を強要して書き換えさせていた、という…。
■質問者
手書きだと、誰がいつ書いたのか分かりにくくてトラブルになりやすいんですね。
■すぎむら先生
そうなんです。
手書きの自筆証書遺言だと、亡くなった後に裁判所で「検認(けんにん)」という手続きをしなければならず、
手続き完了まで3ヶ月〜4ヶ月もかかって、その間は名義変更も何もできなくなってしまいます。
ですから、書き方の不備や紛失、無効リスクを防ぐためにも、
遺言書を作るなら「法務局の自筆証書遺言書保管制度」を利用するか、
公証役場で「公正証書遺言」にしてしっかり保管するのが一番確実でおすすめですね。

