■質問者
すぎむら先生、相続で揉めるとか裁判になるとか、よく聞くじゃないですか。
よくあるトラブルと、揉めない遺産の分け方ってどうなるんですか?
■すぎむら先生
まあ、こればっかりはですね、揉めたくないのであれば
「生前からちゃんとコミュニケーションを取っておいてください」というのが根底にある全てなんですけどね。
亡くなった後はそれができませんから、亡くなった後の話でお伝えします。
亡くなった後に話し合いをしないといけない状況になったら、
そこからは「真摯に公平に手続きを進めていくこと」と「自分の主張をしすぎない姿勢」が大切になってきます。
亡くなってすぐに「お父さんのこのお金、私がもらっていいよね」なんて話は絶対やらない方がいいです。
■質問者
まずはお葬式や役所の手続きを優先して、落ち着いてからということですね。
■すぎむら先生
そうです。
四十九日くらいまでは行政手続きや葬儀などで大変ですからみんなで協力してやって、
落ち着いたタイミングで「ちゃんとした財産目録」を作ることです。
どこに何がどれくらいあるのかを目録にして「全開示」する。
これがめちゃくちゃ重要なポイントです。見せなくていいものを作らず、すべて見せる。
■質問者
財産を目録にする時のポイントはありますか?
■すぎむら先生
不動産なら取引相場や税務上の評価額、売却した時の想定価格を調べる。
保険なら現時点の解約返戻金がいくらか。一つひとつの価値を明確にします。
それから、マイナスの要素(売れなさそうな空き家、山林、農地、お墓の管理費など)も配慮が必要です。
「今後5年分の管理費としてこれくらいはキャッシュが必要だよね」といった概算も含めて、すべて表に起こして全開示するんです。
■質問者
すべてをオープンにしてから話し合いをスタートさせるわけですね。
■すぎむら先生
はい。資産を並べて初めて「こういう問題もあるんだね」と、みんなが課題を深く理解・認識できます。
その上で「これを見てどうしたい?」と全員の意見を聞き出し、現実的な分割案を考えていきます。
不動産などは1円単位で綺麗に切り分けられませんし、数字で見えない管理の労力や時間の問題もあります。
全員が100%数字で平等になるなんて不可能ですから、
あとは「どうやったらみんなが納得できるか」を調整していくことになります。
調整の手段は「感情」か「金銭」のどちらかです。
■質問
なるほど。
どうしてもお互いに譲れない部分が出てきたら、どう進めればいいんでしょうか。
■すぎむら先生
そもそも「協議(話し合い)」というのは、
お互いに「譲歩する(何かを譲る)気持ち」があって初めて成立するものなんですよ。
自分ばかりが「これが欲しい、あれが欲しい」と言い続けるなら、もう調停や裁判をやるしかありません。
でも、みんな裁判なんてしたくないし弁護士も入れたくないわけです。
だったら「話し合いで終わらせるために、お互い譲歩できる場所を努力して探していこうね」という前提を共有しないと終わりません。
弁護士費用や裁判の手間がかからないだけでも大きなメリットですから、そこを材料にして落としどころを決めていきます。
■質問者
具体的にはどういう分け方のパターンがあるんですか?
■すぎむら先生
分け方には主に4つのパターンがあります。
1. 現物分割(げんぶつぶんかつ)
不動産や預金をそのままの形で分けていく、一番普通のやり方です。
2. 代償分割(だいしょうぶんかつ)
不動産などの現物を特定の人が受け取る代わりに、受け取った人が自分の手持ちの現金など(代償金)を他の相続人に払って調整するやり方です。
3. 換価分割(かんかぶんかつ)
不動産などを売却して現金化し、1円単位で綺麗に分けるやり方です。
4. 共有・信託などによる分割
どうしても売りたくない一等地の土地などは「共有名義」にする選択肢もあります。
ただし、管理をスムーズにするために名義人を一人にまとめる「民事信託(家族信託)」の契約を遺産分割協議と同時に結んだり、
法人化して管理したりする応用パターンもあります。
このように色々なやり方や案がありますから、全員の意向を聞いた上で、
ゴールから逆算して現実的な分割案を提案してあげることが、
トラブルなくスムーズに解決する一番の近道だと思いますよ。

