すぎむら先生!
例えば独身のお兄ちゃんが先に亡くなってしまって、その相続で「1円ももらえない」みたいなことってあったりするんですか?
兄弟だったら自動的に遺産がもらえるものだと思っていたんですけど。
まあ、あり得ますね。
■質問者えっ、もらえる権利があるのに、もらえないケースってどういうことですか?
■すぎむら先生まず前提として、相続の順位をおさらいしましょう。
亡くなったお兄ちゃんに子どもがいない場合、お父さんお母さんが生きていれば、親が次の相続人になります。
親もすでに亡くなっている状態であれば、そこで初めて次の順位である「きょうだい」に相続権が回ってきます。
だから「兄弟だからもらえるはず」という疑問を持つんだと思うんですけどね。
そうですよね、親もいなければ兄弟の出番ですよね。
■すぎむら先生でも、法定相続というのはあくまで一段階目のルールであって、それを上書きする方法があるんです。
それが「遺言書」です。
もしお兄ちゃんが遺言書を書いていて、その指定先がきょうだいでないケースですね。
例えば「お世話になった誰かにあげる」とか「どこかの団体に寄付をする」という内容が書かれていたら、お兄ちゃんの意向が一番に尊重されます。
でも、遺言書で他の人に全部あげるって書かれていても、家族なら最低限もらえる権利(遺留分)ってありませんでしたっけ?
■すぎむら先生そこが最大のポイントなんです。
もし亡くなった人に子どもや配偶者、親がいれば、遺言書で「愛人に全部あげる」と書かれていても、最低限の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」を請求できます。
ところが、兄弟にはこの「遺留分」が法律上、認められていないんですよ。
兄弟には遺留分がないんですか!
■すぎむら先生そうなんです。
だから遺言書で「他人に全額寄付する」と書かれていたら、きょうだいは1円も請求できずに権利が消えちゃいます。
お兄ちゃんが遺言書を書いてしまえば、兄弟の取り分をゼロにすることは完全に可能です。
じゃあ、お兄ちゃんともし大喧嘩をしていて、口も利かないような関係だったら結構やばいですね。
■すぎむら先生やばいですね。
ただ、これは残された配偶者を守るために必要なルールでもあるんです。
例えば、子どもがいないご夫婦で、お兄ちゃんが「財産はすべて妻に残したい」と思っていたとします。
でも遺言書がないと、奥さんと、お兄ちゃんの兄弟全員で遺産の話し合い(遺産分割協議)をしなければならなくなります。
もし兄弟が先に亡くなっていれば、その子どもである甥や姪まで登場して話し合いに加わります。
それは奥さんからすると、かなり心理的負担が大きいですね。
■すぎむら先生そうでしょう。
だから「妻に全財産を相続させる」と遺言書に一言書いておけば、兄弟や甥姪には遺留分がないので、奥さんがスムーズに全財産を受け取れるんです。
誰かを守るためには、非常に大事な仕組みなんですよ。

